はなっちょみたい

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雨が降ってきたので
タクシーで帰ることにした。

タクシーの中。
プゥコがおとなしかったので、
最初はシーンとしていたのだが、
ついに口火が切られた!

「これー、はなっちょー」

え?どれ。どこ?

「はなっちょ、みたい!」

プゥコはさらに大きな声で言う。
運転手さんがバックミラーに目をやった。

「なにが?どれが?」

あせる私。
どこかに落ちているのか?
運転手さんも愛車に
はなっちょが落ちていると聞き、
気が気でない様子!

「これー」

そういってプゥコが指差したのは、窓。
水滴がたくさんついている。
あー、はなっちょというか、
鼻水じゃん!

「あ、これね。
雨のしずくが鼻水みたいってことね。
鼻水でしょ。
はなっちょじゃないでしょ。
は、な、み、ず。
いってごらん、はなみず!」

運転手さんにわかるよう、
鼻水を何度も連呼する羽目になった。